本当の絶望

真の絶望は、一見充足の姿をして現れる


なにひとつ欠けることなく満たされて、勝者であるように感じ、見えながら、それこそが極限値の絶望の反転した現れ方であること、それが悪魔的エゴの巧妙な罠であることに気付かない人間は多い


勝ったのは、その人でなく、その人のエゴなのだ

この充足に見える勝利は、手放すことに莫大なエネルギーがかかる


他者から見て完璧であることと、内側の真の勝利と充足の間には、深い溝がある


安全を優先して勝者になるより、挑戦を試みて敗者になるほうが、自我は健全に充足する


なぜなら、その自我は超越したからだ


安全を優先せねばならない程の恐怖を超え、安全であるからこそ挑むことを許せた領域に意識が飛躍することを、魂の促しに従うことを許したのだ

人の生にこれ以上の充足は望み得ない

これ以外はすべて幻想である


だから人は絶望している

獲得した安全のすべてを放棄しなければ、絶望から救われないことに絶望している